筋電気刺激(Electrical Muscle Stimulation:以下 EMS)を利用したトレーニングは、従来の筋力トレーニングと同等の効果を「短時間」で得ることができると言われており、最大 筋力の向上、筋肥大等の効果を示していますが(Gondinet al., J Appl Physiol 2011)、筋を動かす 脳・神経系への影響までは明らかになっていません。「X-BODY」の特徴のひとつに、トレーニングの意図に応じて刺激周波数を操作できることが挙げられます。以上の2点をふまえ、異なる刺激周波数のEMSが脳や筋へ与える影響を解明するために、運動生理学研究を専門とする慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス牛山潤一研究室との共同研究を実施しています。
これまでの研究から、100 Hz の EMS 後には、最大随意収縮課題において、発揮される力やその立ち上げ速度が大きく低下する傾向がみられました。これは、瞬発力を発揮する速筋線維群の疲労が誘発された結果と考えられます。また、低強度の持続的収縮課題では、 100 Hz の EMS 後に力の安定性が減少し、逆に 20 Hz の EMS 後には安定性が増す傾向がみられました。この結果は、刺激周波数により、異なるタイプの筋線維群に影響を与えたことによる影響と考えらえています。今後、さらに詳細な検討を加えていくことで、EMS の神経・筋機能への影響を包括的に理解していきたいと考えています。